対地電圧の謎 ① – 安定しない電圧

対地電圧の謎 ① – 安定しない電圧

弊社は太陽光発電設備の運営・販売・及び維持管理業務を主に行っているが,電気的点検に係る知識・技能を有する者が常駐している訳ではないため,受任している維持管理業務の内,電気的点検は基本的に対象外としている(必要があるときは業者へ再委託).一方,弊社所有の太陽光発電設備に電気的な異常が発生したときは,専門的知識を必要とすると判断した場合を除いて,コスト削減のため社員(一応電気工事士の資格あり)が電気的点検を行う場合がある.

※以下の内容は,電気的な専門性を有しない者によって書かれたものであるため,誤りを含んでいる可能性があるという事をご留意下さい.

よくあるケースとしては,「地絡が発生した」というエラーが出て運転が停止するものだ.特に降雨の後などではパネルの絶縁抵抗値が低下するため,天候が回復するまでエラー状態が続くパターンが多い.

海外製のPCSは,日本製のものと違ってDC端子台で(恐らく逆流防止のダイオード等を介して)並列となっており,開閉器等でストリング毎に分離できないものがある.その場合,絶縁抵抗計を使っても正しい値が測定できないため,P-N間・P-E間・N-E間の電圧を測定し,比を取ることで地絡位置を特定する方法を使う(直流回路自体は接地されていないため,通常対地電圧は不定であると思うが,地絡していたらその場所に応じた電圧が出る).

その際,P-N間の電圧は安定しているのに, P-E間・N-E間の対地電圧が安定しない場合があるという報告を受けた.プローブを当てると段々と電圧が下がっていき,ある値に漸近していくような変化をするというのである.前述の理由で不定なのは分かるにしても,何故時間変化するのだろうか.私は電気回路については初歩的な知識しか有しないが,この話を聞いたとき,これはまさに大昔に高校物理で学習した,コンデンサが放電しているような現象だと思った.

でも一体,太陽光発電設備の何処にコンデンサがあるのだろうか ? 導体に挟まれた絶縁体等,何処に存在するのだろうか ?

暫く考え,あるアイデアが浮かんだ ―もしかして太陽光モジュール(パネル)それ自体ではないか ?
実際,導体(モジュールや配線)と導体(大地)の間に絶縁体(空気)があるから,原理的にコンデンサを構成していてもおかしくない.

念のため調べると,”対地静電容量”なるものがある事が分かった(お恥ずかしながら知らなかった).だが,モジュールや導線が対地間でコンデンサとして機能する事を認めたとしても,考察対象としている現象(対地電圧が数秒-十秒程度で徐々に下がり,ある値に漸近する)に対して,コンデンサのキャパシタンス等のオーダーが妥当かどうか―つまり対地静電容量をその原因と断定してよいかが分からない.あまりにも”ちっちゃいファラデー”だったり,”ちっちゃいオーム”だったら,放電がすぐに終わってしまい(時定数が小さい),目視や計測機器の時間分解能では捉え切れず,事実上一定の値として見える事が考えられるからだ.

更に調査を続けていると,太陽光モジュール対地等価回路についての研究[1]を発見した.それを参考に,対地等価回路を以下のように設定した.ストリングは絶縁抵抗R0を介して接地し,C1・R1,C2・R2のそれぞれ異なる抵抗値及び静電容量を持つRC回路を介して接地しているものとする.先ずはどう充電されるかを考える.ストリングの開放電圧はVOCとした.

VOC
VOC
R0
R0
R1
R1
R2
R2
C1
C1
C2
C2
i1
i1
i2
i2
q1
q1
q2
q2
N
N
P
P
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次回は,回路方程式を立式し,眺めてみたいと思う.

参考文献
[1] Kazuhiko Kato, A Proposal for Equivalent Circuit Between PV Module/String and the Ground, Journal of Japan Solar Energy Society, 49(2), 55-63(2023) (DOI: https://doi.org/10.24632/jses.49.2_55)

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